女性特有の怖い病気の1つが「子宮がん」。従来は30代後半~40代に多いとされてきましたが、近年、発病者の若年化が進んでいます。今や日本人の死因トップになったとはいえ、「癌(がん)」はenvy(エンビー)世代にとって、あまり実感の湧かない病かもしれません。でも、今回取り上げる「子宮頸がん」に関しては、年齢の多少にかかわらず、女性としてしっかり理解し、その傾向と対策を知って欲しいのです。 |
これほどまで医学が進歩しても、なお謎の多い癌。でも、「子宮頸がん」は原因が解明されている、数少ない癌の1つです。原因は男性とのセックスによるHPV(ヒト・パピローマウイルス)に持続感染すると言うことが分かっています。つまり、近年の子宮頸がん患者の若年化傾向は、女性の初体験年齢が早まっていることと密接に関係しているというわけです。
「子宮頸がん」の進行が重度であった場合、子宮の全てを摘出する(全摘)ことになります。子宮を全摘した時点で、子供を産む機能は失われ、女性ホルモンの分泌も弱まるため、更年期障害を引き起こしたり、病気への免疫力が弱まるなど、身体に様々な影響をもたらすのです。また、若ければ若いほど癌細胞が身体の他の部位への転移が早いため、「子宮頸がん」も他の癌同様、早期に発見することがとても大切です。
「なぜ私が子宮がんに……」。子宮頸がんを実際に患った20~30代女性が、この大病とどう向き合い、苦悩の日々をどのように乗り越えたのか。体験に基づくリアルな証言をお聞き下さい。 澤田宣子さん(仮名) 30才 キッカケは双子の妹が子宮の病気になったこと。「私も気をつけなきゃ」と、二十歳で子宮がん検診を受けました。初めての産婦人科で、とても緊張したのを覚えています。このときは異常ありませんでしたが、これをきっかけに同年代の友人に比べると頻繁に婦人科検診に行くようにしていました。そして26歳の時に、パートナーから性感染症の疑いがあると言われ、産婦人科で検査と子宮がん検診を同時に受けたのですが、子宮がん検診で「異形成(いけいせい)」と言われました。異形成とはがんになる手前の状態ですが、当時はがんとの結びつきを認識していませんでした。 その後3ヶ月~半年に1回程度婦人科で検診を受け、医師のアドバイスに基づき生活し、経過も良好だったのですが、4年後のある日……「子宮頸部腺がん」と告げられ、子宮と卵巣の摘出手術を受けることになりました。 子宮頸部腺がんは子宮頸部にできる稀な癌で、子宮がん検診では発見がしにくく、自覚症状があってでは手遅れというケースが少ないないことを術後に知りました。定期的に婦人科へ通っていたので、子宮頸部腺がんも比較的早期に発見ができましたが、自分の体と向き合うことの大切さを実感しました。 |
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ユーゴ(touta.)さん 34才 でも、妊娠をきっかけとした発見だったので、定期健診のたびに不安や疑問を相談しながら、無事出産もできました。今だからこそ、あの時の状況をラッキーだったと思えますが、当時はどうしていいかわからず、悲嘆したのを覚えています。 あいまいな知識や情報は、誤解や悲しみばかりにとらわれて、結局プラスになりません。予防できる癌だからこそ、男の子にも女の子にも知ってもらいたい病気だと今、心から思います。 福田優子さん(仮名) 29才 2年前、会社の婦人科検診で初めて子宮がん検診を受けました。それまでは同世代の友人などと比べても婦人系のトラブルはない方でした。毎月の生理も規則正しかったし。そんな私でしたが、検診結果に「要再検査」の通知が。タバコも吸わないし健康には自信があったので「何で?」と思いつつ、指定された病院で精密検査したところ、「高度異形成」と診断されました。つまり、がんになる一歩手前の状態です。主治医と相談した結果、未婚ですし、将来のことを考えて円錐切除という手術を受けました。 人生で初めての外科的な手術で、とても大変というイメージがありましたが、1泊2日の入院で済んだし、異形成の段階で発見できた子宮がん検診を受けて本当に良かったと思います。 30代女性が、出産前に子宮を失ってしまったり、妊婦検診でがんが発見されて体内の子どもと子宮を同時に失ったりする例が増えていると聞きます。私はそうならなかったわけですが、だからこそ、子宮がん検診の大切さをできるだけ多くの人に伝えていきたいと思います。 |
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「子宮がん」という病名自体は日本でもかなり“認識”されています。 ところが、日本人女性の子宮がん検診の受診率は約20%に過ぎず、先進国の中で最低レベル。アメリカ、フランスでは、7~8割の女性が子宮がん検診を受けており、先進国24カ国の平均でも約60%に達していることを考えると、日本での子宮頸がんに対する“意識”は、かなり低いと言えるでしょう。若い日本人女性に子宮頸がんが増えている理由は、この低い意識も関係しているといます。
もともと「子宮頸がん」はHPV感染から発症まで平均10年程度かかり、自覚症状がほとんどありません。また、自覚症状を感じたときには手遅れの状態になっていることも少なくありません。「子宮頸がん」は、がん細胞の手前の段階(異形成)で発見できる精度の良い検診なので、その段階で簡単な治療でほぼ100%完治することが可能です。定期的な検査を受けることはまず自分でできる危機管理の第一歩となります。
もちろん、健康的な生活を通じての体力づくりを心がけ、ウイルスに対する免疫力を高めることも大切だし、セックスの際、コンドームを使用するのは当然です。さぁ、あなたも今すぐ「子宮がん」検診を受けてみてはいかがでしょう?
セックスの経験が一度でもある女性は、「子宮頸がん」である可能性があります。また、米国では初体験から3年経ったら子宮がん検診を推奨しています。一度「子宮がん検診」を受けることをお勧めします。
「子宮頸がん」のウイルスは、通常1~2年で自然に消滅すると言われています。しかし、体力や子宮機能が低下して免疫力が十分機能しない場合、約10年でウイルスによって細胞が「がん細胞」へと変化します。この変化が起きる前段階での発見が子宮がん検診の場合は、早期発見と言われています。
初期段階での「子宮頸がん」の自覚症状は、ほとんどありません。次の項目は、「子宮頸がん」がすでに進行しており、がん細胞がカラダの機能を低下させているサインです。ひとつでも気になる症状があれば、早急に「子宮がん検診」を受けることをお勧めします。 |
「子宮頸がん」を、ほぼ完全に予防するには「細胞診」と「HPV検査」の2つの検診が必要です。
「細胞診」とは、子宮の入口の細胞を採取して検査します。検診用の綿棒やブラシで軽くこするだけなので、痛みはほとんど感じません。「細胞診」は、がん細胞を発見する検査です。
「HPV検査」は、がん細胞に変化する前のウイルスを発見するためのものです。HPVとは「ヒト・パピローマウイルス」と呼ばれ、一般女性の約80%は生涯に一度は感染すると言われています。通常は、免疫力により自然に消滅することが多いのですが、感染が長期化すると、がん細胞を作り出します。
「細胞診」と「HPV検査」を同時に行うことで、「実際に感染している可能性があるのか」「感染する予備軍であるか」を診断することが可能です。
医療技術の進んだ現在は、「HPV検査」を手軽に簡単に受けるキットが登場しています。「子宮頸がん」の原因となるHPV(ヒト・パピローマウイルス)の感染をチェックすることで、自分のカラダをしっかり守りましょう。 |
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